ENCYCLOPEDIA ・ 鳥脚類
テティスハドロス
Tethyshadros ・ 2009年命名
イタリア北東部で見つかったハドロサウルス上科の恐竜で、ほぼ完全な骨格が保存されている。当時のヨーロッパの島で暮らしていたとみられ、原始的な特徴と進化的な特徴が入り混じる。
- 分類
- 鳥脚類 ・ テルマトサウルス科
- 時代
- 白亜紀後期(約8150万〜8050万年前)
- 全長
- 約4〜4.5m
- 食性
- 植物食
- 発見地
- イタリア
リピカ層(トリエステ県)
特徴
タイプ標本「アントニオ」は尾の先を除いて長さ約3.6mが残り、尾を補うと全長約4.5mと推定されているが、これは大きすぎるという意見もある。骨の組織からアントニオは成長途中の個体とされ、15〜20%大きい「ブルーノ」が成体とされる。
くちばしをもち、手は肉質のパッド状、足の指は3本である。この種だけの特徴が数多くあり、特殊な環境への適応と考えられてきた。頭骨の形や比較的短い首はイグアノドンなど原始的な仲間に似る一方、手のつくりや歯がびっしり並ぶ歯列はハドロサウルス科に近く、原始的な特徴と進んだ特徴が混ざっている。
発見と命名
1980年代、アルチェオ・タルラオとジョルジョ・リモリがイタリア・トリエステ県のヴィッラッジョ・デル・ペスカトーレの採石場跡で恐竜の骨の断片を見つけた。1994年にはここでほぼ完全なハドロサウルス類の骨格が見つかったが、垂直な岩壁にあったため発掘は難しく、取り出せたのは1999年だった。
標本はトリエステ市立自然史博物館で2800時間をかけて岩から取り出され、2000年12月に公開された。ヨーロッパで見つかった大型恐竜の骨格として、19世紀のベルギーのイグアノドン以来の完全さとされる。2009年、ファビオ・マルコ・ダッラ・ヴェッキアがテティスハドロス・インスラリス(Tethyshadros insularis)と名付けた。属名はテチス海とハドロサウルス上科に、種名はラテン語で「島の」を意味し、ヨーロッパの島の一つで暮らしていたことにちなむ。
分類と研究
当初は島で小型化した恐竜と考えられたが、体の大きさの進化のモデルでは、近い仲間と大きく変わらないとされた。系統解析ではハドロサウルス科の外側の進んだハドロサウルス形類とされ、ルーマニアのテルマトサウルスに近いとする研究がある。
2026年にはクリプトハドロスと最も近く、テルマトサウルスを加えた3属で新たにテルマトサウルス科がつくられた。同じ地層からは成体のブルーノなど複数の標本も見つかり、2021年に記載された。
見られる博物館
- 岐阜県博物館日本 岐阜県関市 ・ 全身骨格
同じ鳥脚類の恐竜
同じ白亜紀後期の恐竜
出典
数値は研究により変わる概数。内容は2026年10月時点。