ENCYCLOPEDIA ・ 獣脚類
ナノティランヌス
Nanotyrannus ・ 1988年命名
長くティラノサウルスの幼体ではないかと議論されてきた疑わしい属である。2025年の研究で独立した成体の分類群とされたが、幼体説を支持する研究者も残っている。
- 分類
- 獣脚類 ・ ナノティランヌス科(ティラノサウルス上科)
- 時代
- 白亜紀後期(約6700万〜6600万年前)
- 全長
- 約5m
- 食性
- 肉食
- 発見地
- アメリカ
ヘルクリーク層(モンタナ州など)
特徴
ナノティランヌスは、白亜紀後期マーストリヒト期の北アメリカ西部にいた中型のティラノサウルス上科の獣脚類で、全長は約5.2mとされる。白亜紀末の大量絶滅まで生きていた、最後の時代の恐竜の一つである。ティラノサウルスと違って頭骨は細く低く、目のすぐ前に小さなとさかや角状の突起があった。
上あごの前歯にはぎざぎざがなく、そのほかの歯はぎざぎざがあって左右に薄い形をしている。同じ時代のティラノサウルス類より脚が長く、獲物を追いかける捕食者だった可能性がある。前あしも近縁のものより大きい。原始的なティラノサウルス上科と進んだティラノサウルス科の特徴をあわせもつとされる。
発見と命名
もとになったのは、1942年にデイヴィッド・ホスブルック・ダンクルがヘルクリーク層で集めた頭骨1点である。1946年にチャールズ・W・ギルモアがゴルゴサウルスの新種ゴルゴサウルス・ランケンシスとして記載し、1988年にロバート・T・バッカー、マイケル・ウィリアムズ、フィリップ・J・カリーが新属ナノティランヌスとした。属名は「小さな暴君」の意味で、ほかのティラノサウルス科より体が小さいことにちなむ。
2001年には「ジェーン」と呼ばれるより完全な若い個体が見つかった。2006年にはトリケラトプス類と一緒に埋まった、ほぼ完全な骨格「ブラッディ・メアリー」が発見され、2020年にノースカロライナ自然科学博物館が取得した。2025年、リンジー・ザノとジェームズ・ナポリはこの骨格を成熟したランケンシスの個体と示し、「ジェーン」をもとに第2の種レタエウス(N. lethaeus)を名付けた。
分類と研究
1999年のトーマス・カーの研究で模式標本の頭骨が未成熟の個体と分かって以来、多くの研究者がティラノサウルスの幼体とみなし、その扱いは激しい議論の的になってきた。歯の数がティラノサウルスの成体より多いことは独立した属である根拠とされてきたが、成長とともに歯が減るかどうかについては研究によって結論が異なる。
2025年のザノとナポリの研究は独立した属であることを支持し、同じ年に別の研究も舌骨の組織から模式標本を成熟個体としたが、2026年にはその方法に疑問も出されており、幼体説を支持する研究者も残っている。ナノティランヌス科の確実なメンバーはこの属だけで、アパラチオサウルスやドリプトサウルスに近いとする説もある。
見られる博物館
- バーピー自然史博物館アメリカ イリノイ州ロックフォード ・ 「ジェーン」(T. rex幼体説あり)
同じ獣脚類の恐竜
同じ白亜紀後期の恐竜
同じ国(アメリカ)で見つかった恐竜
出典
数値は研究により変わる概数。内容は2026年10月時点。