ENCYCLOPEDIA ・ 獣脚類
デルタドロメウス
Deltadromeus ・ 1996年命名
長くほっそりした後肢をもつ中〜大型の獣脚類だが、頭骨が見つかっておらず分類は議論が続いている。2025年にはバハリアサウルスの新参異名とする研究も出され、有効性に疑問がある。
- 分類
- 獣脚類 ・ ケラトサウルス類(分類不確定)
- 時代
- 白亜紀後期(約1億〜9500万年前)
- 全長
- 約8m
- 食性
- 肉食
- 発見地
- モロッコ
ケムケム層群ガラ・スバア層
特徴
デルタドロメウスは、白亜紀の中ごろに現在のモロッコで暮らした獣脚類である。模式標本からは全長約8m、体重約1050kgと推定されている。後ろあしは細長くきゃしゃで、走るのに適した体つきだったと考えられている。前あしも獣脚類としては比較的長く、アロサウルスより体に対して長い。
尾の椎骨には幅の広い四角い棘突起があり、空気の袋(気嚢)を収めていたくぼみがある。頭骨は見つかっておらず、よく描かれる大きな頭の復元は推測によるものである。
発見と命名
1996年、シカゴ大学とモロッコ地質調査所の合同調査隊に加わっていたアメリカの古生物学者ポール・セレノが、モロッコ東部エラシディア州のケムケム層群(ガラ・スバア層)で部分骨格を発見した。骨格は関節がつながった状態で見つかり、ケムケム層群では数少ない例である。肋骨、尾の椎骨、肩、前あし、骨盤の一部、後ろあしなどが含まれる。
同じ1996年、セレノらがデルタドロメウス・アギリス(Deltadromeus agilis)と命名した。属名はギリシャ語の「デルタ(変化)」と「走る者」を組み合わせたもので、化石が三角州の堆積物から見つかったことと、走るのに向いた後ろあしの比率にちなむ。種小名は「すばしこい」を意味する。
分類と研究
分類は記載以来、大きく揺れている。当初はオルニトレステスに近い基盤的なコエルロサウルス類とされたが、その後、アルゼンチンのグアリコに近い獣脚類、メガラプトル類、ケラトサウルス類などとする研究が出され、近年は何らかのケラトサウルス類とする解析が多い。2025年には初期のオルニトミモサウルス類とする研究もあり、位置付けは説が分かれる。
セレノらはエジプトのバハリヤ層で見つかった骨もこの種としたが、それらは第二次世界大戦中のミュンヘン空襲で失われている。同じ時代・地域のバハリアサウルスと同じものではないかとする意見もあるが、骨盤の違いなどから否定的な見方もある。もし植物食・雑食のリムサウルスに近いケラトサウルス類であれば、デルタドロメウス自身も植物を食べていた可能性があるとされる。
見られる博物館
当サイトの博物館ガイドには、この恐竜を常設展示する館はまだ載っていない。
展示された特別展
- 特別展「スピノサウルス ― 白亜紀の失われた巨人」2014年9月12日〜2015年4月12日 ・ ナショナル ジオグラフィック博物館 ・ 骨格の展示
同じ獣脚類の恐竜
同じ白亜紀後期の恐竜
同じ国(モロッコ)で見つかった恐竜
出典
数値は研究により変わる概数。内容は2026年10月時点。