ENCYCLOPEDIA ・ 竜脚形類
ディプロドクス
Diplodocus ・ 1878年命名
属名は尾の下側にある二股の血道弓にちなむ。カーネギイ種で全長約24〜26m、ハロルム種はさらに長く約29〜33mと推定されている。
- 分類
- 竜脚形類 ・ ディプロドクス科
- 時代
- ジュラ紀後期(約1.52億〜1.49億年前)
- 全長
- 約24〜26m
- 食性
- 植物食
- 発見地
- アメリカ
モリソン層(アメリカ西部)
特徴
長い首と、むちのように細長い尾をもつ四足歩行の竜脚類である。前肢は後肢よりやや短く、体はほぼ水平に保たれていた。ほぼ完全な骨格で知られる中では最長級の恐竜で、カーネギイ種は全長約24〜26m、体重は約12〜15トンと推定されている。ハロルム種はさらに大きいが、長さの推定は研究によって大きく変わってきた。
尾は全長の約55%を占め、約80個の尾椎からなる。尾の中ほどの下側には二股に分かれた血道弓があり、これが「二重の梁」を意味する属名の由来となった。前肢の指には1本だけ大きな爪がある。ディプロドクスのものと確実にいえる頭骨はまだ見つかっていないが、近縁種から、小さな頭の前の部分にだけ杭のような歯が並んでいたと考えられている。
近縁の仲間の皮膚の跡から、背中に沿って角質のとげが並んでいた可能性が示されている。ディプロドクスの幼体のものとみられる皮膚の化石には、場所によって形の違うさまざまな鱗が残っている。
発見と命名
最初の化石は1877年、コロラド州キャニオンシティ近くの採石場でサミュエル・ウェンデル・ウィリストンらが集めた尾の骨である。1878年にオスニエル・チャールズ・マーシュがディプロドクス・ロングスと名づけた。マーシュとエドワード・ドリンカー・コープが新種の記載を競った「化石戦争」のさなかのことである。
1899年には鉄鋼王アンドリュー・カーネギーが資金を出した調査で、ワイオミング州からほぼ完全な骨格が見つかり、1901年にジョン・ベル・ハッチャーがカーネギイ種として記載した。組み立てられた骨格は「ディッピー」と呼ばれ、そのレプリカはロンドンやベルリン、パリなど各地の博物館に贈られた。1979年にニューメキシコ州で見つかった巨大な骨格は、当初セイスモサウルスと名づけられたが、2004年以降ディプロドクスの一種とされている。
分類と研究
ディプロドクス科の模式属で、バロサウルスとともにディプロドクス亜科に入る。同じ時代のアパトサウルスは同じ科の別の亜科に属する。
化石の多くはアメリカ西部のモリソン層の中部から上部で見つかり、同じ地層からはアパトサウルス、カマラサウルス、ブラキオサウルスなどの竜脚類や、アロサウルス、ケラトサウルスなどの肉食恐竜も出ている。尾の役割については、身を守る武器、音を出す道具、触覚の器官、首とのつり合いなどの説がある。
見られる博物館
- 北九州市立いのちのたび博物館日本 福岡県北九州市八幡東区 ・ セイスモサウルスとして展示の35m骨格
- 神奈川県立生命の星・地球博物館日本 神奈川県小田原市 ・ 全身骨格
- 天草市立御所浦恐竜の島博物館日本 熊本県天草市 ・ 全身骨格
- 白山恐竜パーク白峰日本 石川県白山市 ・ 全長28mの複製全身骨格
- スミソニアン国立自然史博物館アメリカ ワシントンD.C. ・ Deep Timeの全身骨格
- カーネギー自然史博物館アメリカ ペンシルベニア州ピッツバーグ ・ D. carnegiiのホロタイプ実物骨格
- デンバー自然科学博物館アメリカ コロラド州デンバー ・ Prehistoric Journeyの骨格
- ダイナソー国定公園 採掘場展示館アメリカ ユタ州ジェンセン ・ 骨の壁の化石
- ヒューストン自然科学博物館アメリカ テキサス州ヒューストン ・ 全身骨格
- ロンドン自然史博物館イギリス ロンドン(サウス・ケンジントン) ・ レプリカ骨格「ディッピー」
- フランス国立自然史博物館 古生物学・比較解剖学館フランス パリ ・ 複製骨格
- ベルリン自然史博物館ドイツ ベルリン ・ カーネギー標本の複製
- ゼンケンベルク自然博物館ドイツ フランクフルト・アム・マイン ・ 1907年からの組立骨格
- ナチュラリス生物多様性センターオランダ ライデン ・ 頭骨の複製
展示された特別展
- 開館30周年記念企画展「北米ジュラ紀の恐竜たち」2026年7月18日〜2026年12月6日 ・ 群馬県立自然史博物館 ・ ジュラ紀後期の北米の竜脚類
- 特別展示「ディッピー・イン・コヴェントリー」2023年2月1日〜2027年2月19日 ・ ハーバート美術館・博物館 ・ 「ディッピー」全身骨格キャスト
- 巨大恐竜展20242024年7月13日〜2024年9月14日 ・ パシフィコ横浜 ・ 竜脚類
- 特別展「バッドランドの恐竜たち ~北アメリカの1億年~」2024年7月12日〜2024年11月4日 ・ 福井県立恐竜博物館 ・ 全長約25mの全身骨格
- 巡回展「ディッピー・オン・ツアー」2018年2月10日〜2021年10月30日 ・ ドーセット州立博物館ほか英国各地 ・ 骨格レプリカ「ディッピー」
- 特別展「世界最大の恐竜たち」2011年4月16日〜2012年1月2日 ・ アメリカ自然史博物館 ・ 脳函の標本
この恐竜が登場する本
- ビジュアルガイド 恐竜の生態と行動マイケル・J・ベントン(著)、ボブ・ニコルズ(イラスト)、久保田克博・田中康平(監訳)、喜多直子(訳) ・ 翻訳書
- グレゴリー・ポール恐竜事典 原著第2版グレゴリー・S・ポール(著)、東洋一・今井拓哉(監訳) ・ 翻訳書
- ビジュアル 恐竜大図鑑 [年代別]古生物の全生態ダレン・ナッシュ(著) ・ 翻訳書
- 手のひら図鑑3 恐竜マイケル・J・ベントン(監修)、伊藤伸子(訳) ・ 翻訳書
- 世界の化石遺産 化石生態系の進化P・A・セルデン、J・R・ナッズ(著)/鎮西清高(訳) ・ 翻訳書
- 北米ジュラ紀の恐竜たち 開館30周年記念企画展(第74回)群馬県立自然史博物館(編) ・ 図録アーカイブ
- メガ恐竜展2017 巨大化の謎にせまるマーティン・サンダー(総合監修・執筆)、川端清司・田中嘉寛・林昭次(監修・執筆) ・ 図録アーカイブ
- 世界最大の恐竜博2002朝日新聞社、NHK、NHKプロモーション(編) ・ 図録アーカイブ
この恐竜が登場する作品
- ウォーキング with ダイナソー(BBCオリジナル・シリーズ)ドキュメンタリー ・ 1999
- ライフ・オン・アワ・プラネットドキュメンタリー ・ 2023
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出典
数値は研究により変わる概数。内容は2026年10月時点。