ENCYCLOPEDIA ・ 獣脚類
アンキオルニス
Anchiornis ・ 2009年命名
中生代の恐竜として初めて全身の色がほぼ復元された羽毛恐竜で、後肢にも長い羽根をもつ「四翼」の姿をしていた。胃の内容物を吐き戻したペリットからトカゲや魚を食べていたことがわかっている。
- 分類
- 獣脚類 ・ アンキオルニス科(原鳥類)
- 時代
- ジュラ紀後期(約1.61億〜1.6億年前)
- 全長
- 約34〜60cm
- 食性
- 肉食
- 発見地
- 中国
髫髻山(ティアオジシャン)層(遼寧省)
特徴
アンキオルニスはカラスほどの大きさの二足歩行の羽毛恐竜で、三角形の頭骨、翼のある長い腕、長い脚、長い尾をもつ。腕だけでなく脚や足先まで長い羽根でおおわれ、ミクロラプトルと同じように前後に4枚の翼をもつ姿をしていた。タイプ標本は全長約34cm、体重約110gで、最大の標本は全長約60cm、体重0.6〜1kgほどと推定されている。
翼の羽根は軸が左右対称に近く先が丸く、翼全体も先が細い丸い形で、飛ぶ力は弱かったと考えられている。体をおおう羽毛は軸が短く羽枝がばらけた柔らかい作りで、現生の鳥よりふさふさした見た目だったとされる。腕は脚の長さの80%に達し、手首は他の非鳥類の獣脚類より鳥に近いつくりである。
発見と命名
最初の化石は中国遼寧省建昌県の髫髻山(ティアオジシャン)層から見つかり、約1億6000万年前のジュラ紀後期の地層とされる。2009年に徐星(シュー・シン)らが記載し、学名アンキオルニス・ハクスリー(Anchiornis huxleyi)と名付けた。属名はギリシャ語で「鳥に近い」、種小名は鳥と恐竜の近い関係をいち早く唱えたトマス・ヘンリー・ハクスリーにちなむ。
同じ年、地元の農民がもたらしたより完全な2体目の標本が科学誌『ネイチャー』に報告され、手足に長い翼の羽根が確認された。その後も数百の標本が知られ、山東天宇自然博物館だけで255点を収蔵していると2010年に報じられている。
分類と研究
2010年、北京自然史博物館の標本の羽根に残るメラノソーム(色素をもつ小さな構造)の形を調べ、中生代の恐竜として初めて全身の色がほぼ復元された。体は灰色と黒、頭の冠羽は赤褐色、翼は白地に黒い先端をもつ模様だったとされる。ただし2015年に別の標本を調べた研究では灰黒色の色素しか見つからず、結果の違いについては複数の説明が出されている。
分類は当初、始祖鳥(アーケオプテリクス)とともに鳥類に近い鳥群(アビアラエ)の初期のなかまとされたが、その後トロオドン科とする研究なども出て説が分かれた。2017年の研究ではシャオティンギアなどとともにアンキオルニス科にまとめられている。2018年には体内や周りから胃の内容物を吐き戻したペリットが報告され、トカゲの骨や魚のうろこを含んでいた。ペリットを作った獣脚類としては最も古い例である。
見られる博物館
- 国家自然博物館(旧北京自然博物館)中国 北京市東城区 ・ 遼寧省産の羽毛恐竜
- 山東天宇自然博物館中国 山東省臨沂市平邑県 ・ 255点の標本
展示された特別展
- 特別展「恐竜はいまも私たちのそばに」2016年3月21日〜2017年1月2日 ・ アメリカ自然史博物館 ・ 四翼の小型羽毛恐竜
この恐竜が登場する本
- 大英自然史博物館の恐竜化石ポール・M・バレット(著)、真鍋真(監修)、倉橋俊介(訳) ・ 翻訳書
この恐竜が登場する作品
- ライフ・オン・アワ・プラネットドキュメンタリー ・ 2023
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出典
数値は研究により変わる概数。内容は2026年10月時点。