ENCYCLOPEDIA ・ 獣脚類
キティパティ
Citipati ・ 2001年命名
ヒクイドリのような高いとさかをもつオヴィラプトル類である。巣の上で卵を抱いた姿の化石「ビッグ・ママ」で知られ、鳥類に似た抱卵行動の証拠となった。
- 分類
- 獣脚類 ・ オヴィラプトル科
- 時代
- 白亜紀後期(約7500万〜7100万年前)
- 全長
- 約2.5〜2.9m
- 食性
- 雑食
- 発見地
- モンゴル
ジャドフタ層(ウハー・トルゴド)
特徴
オヴィラプトル類のなかでは大型で、全長は約2.5〜2.9m、体重は75〜110kgほどと推定されている。頭骨は短く、内部に空洞が多く軽いつくりで、前上顎骨と鼻骨がつくる目立つとさかがある。
上下のあごには歯がなく、先端は角質のくちばしになっていた。尾の先は最後の尾椎が癒合した尾端骨で終わり、これは大きな尾羽を支える構造と関係するとされる。腕と尾は長い羽毛に覆われていた。
発見と命名
化石はモンゴル・ゴビ砂漠のジャドフタ層ウハー・トルゴドで、1990年代にモンゴル科学アカデミーとアメリカ自然史博物館の共同調査が集めたものである。1993年には巣のなかの胚の化石と、卵の巣の上に座った姿の成体の化石が見つかり、後者はニューヨーク・タイムズに「ビッグ・ママ」と呼ばれて有名になった。1995年には2体目の抱卵姿勢の標本「ビッグ・アンティ」も見つかった。
2001年、ジェームズ・クラーク、マーク・ノレル、リンチェン・バルスボルドが、1994年に見つかったほぼ完全な骨格をタイプ標本として、キティパティ・オスモルスカエ(Citipati osmolskae)と名付けた。属名はサンスクリット語の「火葬の薪」と「主」に由来し、チベット仏教の伝承に出てくる骸骨の姿の墓場の主を指す。種名はポーランドの古生物学者ハルシュカ・オスモルスカにちなむ。
分類と研究
羽毛をもつ鳥に似た恐竜で、オウムのような頑丈なあごをもつオヴィラプトル科に入る。多くの化石ははじめ近縁のオヴィラプトルとされ、オヴィラプトルとして広く知られてきた高いとさかの標本も、実はキティパティに近いと指摘されている。
成体は円い塚のような巣の上に座り、腕を巣のまわりに広げて卵を温めていたと考えられている。この抱卵の姿は、鳥でない恐竜と鳥の結びつきを理解する手がかりになった。巣からはトロオドン類の幼体の骨も見つかっており、親が子に運んだ獲物で、雑食だった可能性も考えられている。
見られる博物館
当サイトの博物館ガイドには、この恐竜を常設展示する館はまだ載っていない。
展示された特別展
- 特別展「化石ハンター展 ~ゴビ砂漠の恐竜とヒマラヤの超大型獣~」2022年7月16日〜2022年10月10日 ・ 国立科学博物館 ・ 抱卵姿勢の化石
この恐竜が登場する本
- アメリカ自然史博物館 恐竜大図鑑マーク・A・ノレル(著)、田中康平(監訳)、久保美代子(訳) ・ 翻訳書
- 古生物はこんなふうに生きていた 化石からよみがえる50の場面ディーン・R・ロマックス(文)/ボブ・ニコルズ(絵)/藤原多伽夫(訳)/真鍋真(解説) ・ 翻訳書
- 化石ハンター展 ゴビ砂漠の恐竜とヒマラヤの超大型獣 特別展日本経済新聞社、日経サイエンス(編) ・ 図録アーカイブ
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出典
数値は研究により変わる概数。内容は2026年10月時点。