ENCYCLOPEDIA ・ 獣脚類
イー
Yi ・ 2015年命名
手首から伸びる棒状の骨で膜状の翼を支えていたと考えられる、コウモリのような翼を持つ小型恐竜である。属名「イー(翼)」は恐竜の中で最も短い学名で、どの程度飛べたかはわかっていない。
- 分類
- 獣脚類 ・ スカンソリオプテリクス科
- 時代
- ジュラ紀後期(約1.6億〜1.58億年前)
- 全長
- 不明(体重約380g)
- 食性
- 肉食
- 発見地
- 中国
髫髻山層(河北省青龍県)
特徴
体重約380gと推定される小型の恐竜で、木の上で暮らしていた可能性がある。頭は短く口先が丸く、下あごは下に曲がり、歯はあごの先にだけ数本ある。ほかのスカンソリオプテリクス科と同じく、手の第3指がとても長い。
最大の特徴は、手首から後ろへ伸びる長くとがった棒状の骨で、第3指や尺骨より長い。指とこの骨の間にはしわのある皮膚が残っており、羽根ではなく皮膚の膜でできた翼をもっていたことが分かった。翼はコウモリに似た姿だったと考えられているが、コウモリの膜は指の間だけに張られ、このような骨はない。
体は硬い単純な羽毛に厚く覆われ、最も長いものは上腕の後ろとすねにある約6cmの羽毛である。
発見と命名
唯一の標本は成体の化石で、中国・河北省青龍県の木頭凳村近くの採石場で農民の王建栄が見つけ、2007年に山東天宇自然博物館に売った。標本の特徴の多くは博物館で化石を取り出す作業中に現れたため、研究者は手が加えられていないと判断し、CTスキャンでも確かめられた。
2015年、徐星らが科学誌『ネイチャー』でイー・チー(Yi qi)と名付けた。属名は中国語で「翼」、種名は「奇妙な」を意味する。2文字の属名は恐竜で最も短く、4文字の学名は国際動物命名規約で可能な最短の長さである。
分類と研究
スカンソリオプテリクス科に入るが、エピデクシプテリクスなどほかの仲間との細かな関係は解析で決まらなかった。この科は原鳥類のなかで最も原始的なグループとされた。
皮膜の翼は恐竜で唯一の例で、鳥の起源の近くで起きた飛ぶことへの独自の試みの一つと考えられている。胸の筋肉が大きかった証拠がないことから、羽ばたくより滑空に特化していたとする見方が有力だが、記載者は飛び方は分からないとしている。2020年の研究では、滑空の能力は同じくらいの大きさの滑空する哺乳類と同程度で、地面から飛び立つのは苦手だったとされた。
見られる博物館
当サイトの博物館ガイドには、この恐竜を常設展示する館はまだ載っていない。
展示された特別展
- 恐竜博20162016年3月8日〜2016年6月12日 ・ 国立科学博物館 ・ 翼膜をもつ小型獣脚類
この恐竜が登場する本
- 恐竜博2016 The dinosaur expo 2016真鍋真(監修)、朝日新聞社(編) ・ 図録アーカイブ
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同じジュラ紀後期の恐竜
同じ国(中国)で見つかった恐竜
出典
数値は研究により変わる概数。内容は2026年10月時点。